好きな作家とスーツと制服
はじめに
「制服」をモチーフに作品を制作している「大槻香奈さん」と「青山裕企さん」
どちらも大好きな作家さんです。
この2人に共通しているのが「制服」をモチーフにしていること。
今回は、昨年末に2人の個展、対談を見た時に思ったことをまとめました。
大槻香奈さん
大槻香奈さんを始めて知ったのは、KARENというバンドのジャケットを見た時。
どこで見たのか忘れちゃったけど、こっちを見つめる少女の絵が頭から離れなくて、
ジャケットを書いた作家さんを調べて、それ以来ずっと気になっていました。
||Kana Ohtsuki Official Web||
青山裕企さん
青山裕企さんを始めて知ったのは、スクールガール・コンプレックスが発売された時。
だけど、実際にファンになったのは「cakes」で連載されている「彼女写真」を見た時でした。
可愛いだけじゃない、グッとくる瞬間を抑える写真と間が素晴らしくて、思わず調べたら、「この人スクールガール・コンプレックスの人じゃん!」って感じでした。
青山裕企
実際に2人を間近で見ることに
大槻さんの個展
Gallery Schedule | neutron tokyo ニュートロン東京 南青山ギャラリー アートプロデュース
実際にこの2名を見たのは去年末。はじめは大槻香奈さんの個展を東京に見にいきました。(京都の作家さんなので中々、東京来ない)
これまで、画像でしか見れなかった作品が、キャンパスに描かれて目の前に。当たり前かもしれないけど、画像よりも迫力があって、力を感じる絵でした。
その中でも、良かったのが「制服の少女」のポートレイトシリーズ。壁に並べて飾られているのだけど、どれもが違う迫力を持った絵で、思わず時間を忘れて、じっくりと見てしまいました。
そして、対談
写真家・青山裕企個展で代表作『ソラリーマン』『schoolgirl complex』を展示 -art-designニュース:CINRA.NET
驚いたことに「青山さん×大槻さん」の対談が行われると知り、速攻で応募。行って来ました。
対談で気づいた「制服のちから」
対談では、作品への想いなどを、お互いが語り合うスタイルだったのですが、その中でとても感激したのが、[記号的] ⇄ [個性的]の話でした。
これは、青山さんの個展のタイトルにもなっていたのですが、「記号」と「個性」についてのお話です。
「記号」とは、簡単に言うと、そのものが持つイメージのことです。(「制服」を見たら、青春、若々しさ。スーツを見たら「社会」や「縛られている」など)
例えば、青山さんの作品では「顔の写っていない制服の少女」が良くモチーフにされます。
彼女たちは、「制服」を着ていることによって、「青春」「秘密の花園」「若々しさ」といったイメージを持っています。
「個性」とは、そのまんま、その人がもつ個性のことです。そして、⇄ とは、それが行き来している状態のことです。
[記号的] ⇄ [個性的]で、「強いイメージ」と「ひとりの個性」が相互に影響を与え合っていることを表しています。
でも、これって少し矛盾してると思いませんか?
「制服」を来た少女が並んでたら、それぞれの少女は、個性的じゃなくなるし。それこそ、スーツを来たサラリーマンが並んでたら、「没個性的」でみんな同じ様だと言うじゃないですか。
ですが、ここでは「強いイメージを持つ記号」だからこそ、逆に「個性的になる」(可能性がある)と話を聞きました。
スーツでジャンブする「ソラリーマン」
これは、スーツを着たサラリーマンにジャンプしてもらい、その一瞬を収めた。
青山裕企さんの作品「ソラリーマン」の1枚です。
もう、明らかに個性的です。
これは、「ジャンプ」させることで、個性が引き出されているのですが。
ここで大きな意味を持つのがスーツであることです。
もし、この写真のおじさんが私服だったら、どうでしょう。
全然意味合いが違ってくると思います。
スーツを着た人が、ジャンプするから。つまり、「記号性の高い」サラリーマンをジャンプさせることで、「より個性的」にさせているのです。
[記号的] ⇄ [個性的]
この話を聞いた時に、僕は大槻さんのポートレイトに魅力を感じたワケがわかりました。
一見、どれも同じような制服を着た女の子の絵ですが、みんなが「制服」を着てるからこそ、逆に「より強い個性」が出ている。
どの少女にも、何らかの背景があって、何かを伝えようとしている。そんな風に思える。
前に書いた「抑圧」と「反抗」を意識せよ! - 想像を文章にする練習にも少し繋がりますが、強いイメージ(抑圧)を与えることが、実は個性(抑圧に対する反抗)に繋がることがある。
そんな不思議を発見しました。
おわり
上手くまとまってないかもしれないですが。こうした[記号的] ⇄ [個性的]なものって、他にもあると思うし、何かのヒントになると思うんです。
同じスーツで言えば「WORLD ORDER」もそういった要素があるかもしれないし。先日紹介した、会田誠さんの作品にも「制服」や「スーツ」が良くでてきます。
強いイメージに縛られるからこそ、逆に個性的になることがある。頭の隅においておくと、いつか面白い気づきがあるはず。