taketommy's blog

誰かの役に立つように、自分が振り返れるように、コソコソまとめています。

情報産業の次は生命産業?「情報の文明学」を読んで感じたこと

はじめに

ほぼ日の糸井さんが、社員への課題図書としている「情報の文明学」という本を読んだ。この本は、梅棹忠夫さんが1962年に発表した論文「情報産業論」などをまとめたもので、インターネット社会を予測していたかのような内容から”知の大預言書"とも呼ばれているらしい。気になり読んでみたところ、メディアの未来を考えるいろいろなヒントをくれる名著だったので、自分の整理のために内容をまとめてみる。

情報の文明学 (中公文庫)

情報の文明学 (中公文庫)

「情報産業論」をざっくりと

「情報産業論」は、とてもユニークな視点で情報社会の訪れを予測したものだ。「情報産業論」では、人類の産業の歴史を「農業の時代」「工業の時代」「情報産業の時代」と三段階に分けている。梅棹忠夫さんは、この流れを"人間の体が受精卵から成体になるまで"と関連付けて説明している。

人間の元となる受精卵は、細胞分裂を繰り返しながら「外胚葉」「中胚葉」「内胚葉」という三つの胚葉(細胞の固まり)に分かれる。これらが更なる分裂を繰り返し、人間の器官になってゆくのだ。それぞれ内胚葉は胃や腸などの消化器官に、中胚葉は血液や筋肉などに、外胚葉は皮膚や脳神経系になる。梅棹忠夫さんは、この成り立ちが産業の歴史と関連しているというのだ。

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農業時代→工業時代→情報産業の流れ

まず一つ目の「農業の時代」に生産していたものは、ずばり食料である。農業時代は、人間が食べること(腹の足しになるもの)に追われていた時代だった。梅棹忠夫さんは、農業の時代を言い換えると、消化器官系を満たすための「内胚葉産業の時代」であると説明した。

二つ目の「工業の時代」に生産していたものは、生活物資とエネルギーである。工業の時代は、いわば人間の手足を使った労働を機械が効率化した(筋肉・労働の足しになる)時代だった。梅棹忠夫さんは、「工業の時代」を中胚葉産業の時代であると説明した。

では、最後に残った「外胚葉」は、何を表すのだろうか。梅棹忠夫さんは、外胚葉が生み出す脳神経系統や感覚を充足させるものこそが「情報」(脳や感覚の足しになるもの)であり、第三の時代として「情報産業の時代」が訪れると論じた。

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いま「情報産業の時代」と聞くと当たり前だと思うかもしれないが、「情報産業論」が発表されたのは1962年だ。これは情報革命の訪れを論じて、世界的なベストセラーとなった「第三の波」(1980年)が発表されるよりも、20年近く前に日本で情報革命が予測されていたことになる。これが、「情報産業論」が"知の大預言書"と言われる理由のひとつである。

「情報産業の時代」による変化

梅棹忠夫さんは、工業生産物そのものが中心となる「工業の時代」から、商品に付加された情報が中心となる「情報の時代」に少しづつ移行していると説明した。

その一例として自動車業界をあげており、消費者が「自動車の性能に対してお金をはらうよりも、自動車のもっているシンボル性に対して金をはらうようになっています。」とし、性能の良さよりもその自動車を「かっこいい」と思えるかに大きな価値が出てきたと論じた。

また、こうした消費欲求の変化について、「日本製造業においては、デザインなどというものは、ほとんどかえりみられなかった。品質がよければ見かけはどうでもいい、というかんがえであった。ところが現在では、その品質ということばの内容が変化しつつある。その製品に付加された情報的価値こそが品質となりつつある」と説明した。

どうだろうか、これらはまさにインターネット社会における消費欲求の変化として、広告業界などで叫ばれていることだ。梅棹忠夫さんは、こうした考えの元となる論文をコンピューターの普及前に予見しているのだから、衝撃的である。

「情報」について

梅棹忠夫さんは、「情報の時代」の中心となる情報そのものについても、ユニークな視点を持っていた。「情報を常に役立つものだと考えるのは間違いである」とし、無益な情報をコンニャクに例えて「情報というものはコンニャクのようなもので、情報活動というものはたべる行為に似ている」と説明している。

コンニャクは、サトイモ科の植物だ。その主成分はマンナンと呼ばれる物質であるが、これはほとんど栄養素がない。つまり、コンニャクはいくら食べても人間の体に役立たないのである。しかし、それでもコンニャクには味覚があり、食べればそれなりに満腹感が出てくる。

梅棹忠夫さんは、栄養素のないコンニャクを例にして、役に立たない情報をコンニャク情報と呼んだ。コンニャクを食べた際に人間の腸が動くように、どんなに役立たない情報でも、感覚器官や脳神経系を興奮させており、それだけで存在する意味があるというのだ。こうした無意味な情報を無視しない視点は、エンタメ過剰になった現代でも、おおきな意味があると思う。

新しい産業は、古い産業を発展させる

ここまで「情報産業論」の概要をまとめたが、ここからは梅棹忠夫さんが予見した"情報革命後の発展"についてまとめよう。梅棹忠夫さんは、新しい産業の発展によって、古い産業はますます発展すると論じた。

例えば、工業時代が発展したことで、農機具や肥料が大量生産可能になり、農業は大きく発展した。おなじように、工業は情報革命により大きく発展し、さらには第一世代となる農業もその可能性を広げている。新しい産業は古い産業を滅ぼすのではなく、あくまで並存していくのである。

こう考えると、今流行りのIoT(Internet of things)などは、まだまだ情報革命の範疇にあると考えられるだろう。IoTは、簡単にいえばすべてのモノをインターネットに繋げる技術のことだ。これはまさに「情報の時代」が古い産業を発展させていると考えられると思う。

「情報の時代」の次はなにか

ここからは「情報産業論」の文脈に沿って、「情報の時代」の次について考えたいと思う。ここまでの流れをまとめると、人間の産業の歴史は、「農業の時代」「工業の時代」「情報産業の時代」と三段階に分けることができる。

これらは人間が成体になるまでに出来る「外胚葉」「中胚葉」「内胚葉」という三つの胚葉に対応しており、言い換えれば「腹の足しになる時代」「筋肉・労働の足しになる時代」「脳や感覚の足しになる時代」と、人間の諸機能を段階的に満たす流れで発展してきた。

では、その最終形である「情報産業の時代」の次にくるのは何だろうか。僕はこれを人間の存在そのものを満たす「生命産業の時代」であると妄想してみた。ここから先は勝手な思考実験であるが、次の時代を考えることは、いまの時代を生きる上でも面白いことだと思う。

「生命産業の時代」を妄想する

「生命産業の時代」は、梅棹忠夫さん風にいえば、人間の存在そのものを満たす「三胚葉の時代」と言える。三胚葉というのは、これまで説明してきた「外胚葉」「中胚葉」「内胚葉」をまとめた言葉だ。「生命産業の時代」では、人間の活動そのものが代替される時代になるだろう。

一番単純な例でいえば、ロボットによる人間の代替がある。ソフトバンクが2月27日にパーソナルロボットである「pepper」を発売するなど、既にロボット分野は発展を見せている。そのなかでも、人間の代替というアイデアを受けたのは、介護用として2011年から発売されている「うなずきかぼちゃん」だった。


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ロボットによる人間の代替を考える際に考えられるのは、人が何らかのストレスを感じる作業から代替が始まるということだ。介護自体をストレスフルだと言うのは、誤解を招きそうだが、少なくとも「うなずきかぼちゃん」については、介護施設などで長時間ひとりひとりと会話できない状況に置いて、人間の代替として成立しているのではだろうか。

また、前述したように新しい産業は古い産業を発展させるだろう。具体的には、「情報の時代」「工業の時代」「農業の時代」すべてをロボット(人間の代替であればロボットじゃなくても良い)が発展させることになる。ここまで来ると完全にSF世界になってしまうが、人間の代替となるようなものが生まれれば、各時代の物事をより発展させる可能性は十分にあると思う。

まとめ

「情報の文明学」の書評に始まり、最後には勝手な妄想論になってしまった。書評として内容を短くまとめる予定が、本の内容の濃さからずいぶんと長くなったが、まとめることで理解が深まった気がする。僕が書いた妄想論がさておき、「情報の文明学」が示唆にとんだ名著であるのは確かなので、興味を持った人はぜひ読んでみてはいかがだろうか。

成人式を迎えた妹に、10年前からの手紙が届いた

自分の2分の1成人式について考える

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今年成人式を迎えた妹の元に、10年前の自分からの手紙が届いていた。2分の1成人式として、小学校4年生の時に書いたものらしい。そこには将来の夢や、友人たちからのメッセージが書いてあった。

この10年前からの手紙、自分が成人式の時は送られてこなかった。では自分は小学校4年生の時、どんなことをして、何を考えていたのだろうか。そう思い、部屋の中を探したら小学校4年生の頃の文集が出てきた。

文集「なかま」によると、10歳の僕は、将来プロ棋士(将棋)になりたいと書いていた。思い起こせば、小学校4年生の頃、担任の先生がアマチュア有段者だったこともあり、クラス中で将棋が流行っていたのだ。珍しい光景かもしれないが、当時のクラスでは休み時間にみんなで将棋を指しており、僕はクラスの中では強い方だった。(今でも将棋は好きだけど、もう久しく指していない)

ほかの項目を見てみると、クラスの思い出ベスト5には、「落語」「将棋大会」「プラネタリウム見学」などを挙げていた。パッとみて思ったのは、今でも興味があることばかりだということ。小学4年生の頃好きだったものは、今でも引き続き興味を持っているらしい。

また、小学校からの友人たちの文章も載っており、それがまた面白い。パイロットになりたいと書いた友人は、大学時代に留学することになるし、走ることは誰にも負けないと書いた友人は、その後中高で陸上部のエースになる。夢が叶うとは言わないけど、10歳の頃に考えていた未来は、それなりにその人達に影響を与えているように思える。

一方で、ネガティブな話をすれば、お花屋さんになりたいと夢を書いた少女が、10年後にはできちゃった結婚で母になっていたり、サッカー選手のなりたいと夢を書いた少年が、10年後には街の不良になっていたりもするのだけど‥‥。

すべての文集に書かれている夢が、その人の未来に繋がっているわけではない。だけど、それでも10年前に感じていた(書いていた)いくつかのことは、その人の今に繋がっていると思う。就活の時にも同じことを思ったけれど、自分が嬉しいと思うことや、心惹かれるものってのは根本的には、小さい頃から変わらないものだと思っている。

小学校の文集が残っていたら、読み返してみると面白いと思う。もし、読み返せる資料が無かったとしても、成人式を祝うこの時期に、自分の2分の1成人式について考えるのは、なかなか良い体験ではないだろうか。「10年前、20歳は大人だと思ってたけど、実際全然変わってないや」と手紙を見た妹がとボソっと言ったように、過去を見ることで、変わらない自分を再確認できるかもしれない。

人の欲が見える瞬間ってゾクっときませんか

はじめに

酩酊女子 ~日本酒酩酊ガールズ~

酩酊女子 ~日本酒酩酊ガールズ~

コミックナタリー - 酩酊した女性描く日本酒同人誌が書籍化、たかみちらが参加

ネットサーフィンしてたらフェチっぽい雑誌を発見した。酩酊女子ってなんじゃそりゃ!と最初は思ったけど、一定の支持層がいそうだ(かくゆう僕もグッときた)。何で酩酊女子にピンときたのかと考えてみたが、それは"人の欲が見える瞬間"に惹かれるから、かもしれない。

なんで酩酊女子が良いかっていうと、普段よりも理性的じゃなくなるからかなぁと。男性的にはエロ方向に考えちゃいがちだけど、それだけじゃなくて、環境的にも精神的にも怒ったり、泣いたりしやすいし、いつもよりも欲が見えやすい感じがして良いなぁと思う。

このほかに例をあげると、「食べ物を美味しそうに食べる女子が好き」な男性は、結構いると思うんだけど、これも女の子の「食欲」が見えるからグッとくるのかも。そう考えるとパジャマ女子も「睡眠欲」(無防備さとかもあるけど)が見えるから良いのかも。性欲については当たり前すぎて割愛。

花のズボラ飯

花のズボラ飯

たべるダケ 完食版 DVD BOX

たべるダケ 完食版 DVD BOX


まぁ、こういうフェチっぽいものについては、コンプレックスが起因してたり、色々な要素がありそうなので、一概には言えないんだけど。「人の欲が見える瞬間ってゾクっときませんか」と疑問に思ったので書いてみた。夜中にこんな文章を書いている僕は、きっと疲れているのだろう‥‥笑

「包帯クラブ」は何度観てもいい映画だった

はじめに


包帯クラブ - YouTube

時間のある冬休みに、好きな映画を見直そうと思い「包帯クラブ」を観た。やっぱり、何度観ても包帯クラブは素晴らしい映画だった。本当みんなに見てもらいたいと思ったので、簡単に映画を紹介する。(見終わってすぐなので、興奮気味に)

監督は「トリック」「SPEC」シリーズを手がける堤幸彦、原作は「永遠の仔」や「悼む人」の天童荒太、音楽は夫婦ユニットのハンバートハンバート。主演は石原さとみ柳楽優弥だ。

包帯クラブ」は、人がこころに傷を負った場所に包帯を巻くことで、傷を手当する"包帯クラブ"のお話。包帯クラブの会員である少年少女たちは、ひとの心の傷と向かい合いながら、すこしだけ人の傷を和らげていく。

話のポイントは、人の傷を手当する本人たちも、また心に深い傷を負っているということだ。包帯クラブの会員たちは、物語がすすむにつれ、他人の傷を真の意味で理解することはできないこと、簡単に手当できないような心の傷があることを痛感する。実際、物語の中では、何度も「傷を負った場所に包帯を巻いても何も変わらない」といった発言が繰り返される。

しかし、それでも包帯クラブの会員たちは傷を手当し続ける。それは、他人の傷を和らげるだけでなく、今度は自分たちの傷を癒すことに繋がる。心の傷は簡単に癒えるものではないし、無闇に触れていいものでもない。それでも、誰かのちょっとした思いやりや支えが、時として人を変える。

包帯クラブ」は、そんな厳しい現実と、その中にあるささやかな希望を描いた作品だ。今度の休日、借りる映画に困ったときは、是非DVDをレンタルして観てもらいたい。ちなみに天童荒太の原作よりも、映画の方が3倍面白いと思う。

最近読んで面白かった漫画 「にこたま」 - 29歳 最後の思春期

最近読んで面白かった漫画

最近、読んで面白かった漫画を紹介します。

にこたま(1) (モーニングKC)

にこたま(1) (モーニングKC)

あらすじ
主人公は29歳、交際9年・同棲5年の浅尾温子(あっちゃん)と岩城晃平(コーヘー)
30歳を控えたふたりは、自分たちの将来について考えはじめる。

刺激はないけど安定したふたりの生活。
そんな中、こーへーは会社の女性から、自分の子を妊娠していると告げられる。

人は愛だけじゃ生きられない。
論理と感情が作り出す、最後の思春期。

読書感想文

自分と共に生きていく"ひとり"を選びだす恋愛物語。

カップルは結婚して家族になり、子供をつくり親になる。どんなカップルにも、そんな決断を求められる時がくる。

まだ30代には遠いけど、同世代が結婚したり、親になったり。そんな光景をみる日が近い将来に訪れるんだろうな、と思ってしまいました。

興味を持った方は是非!3月に5巻が出て完結しました。

2年間のnanapi生活を振り返る

はじめに

実は、昨日でnanapiバイトを始めて2年になりました。

週に3〜4日、10時から19時まで。(時にはもっと長く)
思えば、大学生活の半分はnanapiにいたことになります。

まだ卒業まで一ヶ月ありますが、良い節目なので
2年間のnanapi生活を振り返ってみました。

nanapiに入ったきっかけ

当時、僕は、学生団体とかビジネスコンテストとか。そういった学生同士で活動することは、大体経験したような気がしていて。

「今度は、社会人の方々と一緒に頑張りたいっす!」
なんて、たっかい意識をぶら下げて、バイト先を探してました。

nanapi(当時はロケスタ)を見つけたのは、Twitterで。元バイトの方が募集してるよ!と呟いていたのを見て、応募。

nanapi自体は、それとなく知っていて、記事数がちょうど1万9千位の時に、もうすぐで2万記事になるなと、観察してました。(今じゃ7万記事)

面接を担当してくれたのは、たくみさん (takumix)と、あさみさん(asami81)で

「個人で発信してた情報を、ひとつにまとめるなんて凄いっす!」
「ついこの間、2万記事行きましたよね!観察してたんですよ!」

なんてことを話した気がする。

聞かれた質問で印象的だったのは「nanapi編集部、女の子しかいないけど平気?」という質問で。「大丈夫です!」と応える前に、「まぁ、大丈夫そうだね!」と自己完結された。

後日談だけど、たくみさんは、けんすうさんに「次、バイトで入った男の子、男好きかもしれないから気をつけろよ!」と冗談で言ってたらしい・・・笑

その後、合格の通知が来たときは、本気でガッツポーズした。

バイト開始

3月1日バイト開始

ギリギリ大学2年生の3月1日。バイトが始まった。

当時は、バイトが僕を含めて4名で、社員の方も10名ほど。「これからどんな風に成長していくんだろう」とワクワクしながらの初日。

朝会で、始めて聞かれた質問は「恋愛対象は、女の子でいいんだよね?」というたくみさんの質問。

凄い会社に来てしまったな・・・!と思いつつも、良い感じにみなさんと打ち解けられました。

職場の雰囲気は、人数も少なかったので、全員と気軽に話せる雰囲気。お昼も、テーブルで編集部の皆さんと食べていました。

入ってすぐの震災

3月1日に入社して、約2週間。オフィスに居るときに震災がありました。

グラグラ揺れるし怖かったけど、社員さんたちの対応が素晴らしくて、冷静に動くことができました。近くの、公園まで避難。その後は、使えそうな記事をネットで流したり、記事を書いたり。

お風呂に入ってる時に地震が起こった時の対応 | nanapi [ナナピ]
東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)にWeb/携帯から募金する方法まとめ | nanapi [ナナピ]

まさに、今必要とされてる情報をnanapiが広げていく様子を見て。
入ってすぐだったけど、nanapiが世の中に必要なサービスだって、凄く実感しました。

Twitter / yunico_jp: バスが全然来ない中、@saiso が、バス停の前にある薬局で ...
(saisoさんがカイロ配ったことが、震災のいい話として広がって。それを恥ずかしそう照れてるsaisoさんが素敵だった。)

色々な出会いと学び

震災が落ち着いてきたころ、どんどん新しく社員さんが入って来ました。

ここからが、本格的な業務の開始で、2年間、色々支えてもらっている寺さんや、今はフリーライターとして活躍している、ゆかたんさん(yukatan)。

などなど、新しい出会いがありました。

情報が人に見られる喜び

この頃は、これが当たるかな?と思う記事をライターさんに発注する業務をやっていて。

出した案件がPVを稼いだり。発信した情報が人に見てもらえる、ネットで話題になることの面白さを感じていました。

男性向け!ファッションの参考になるサイト20個まとめ | nanapi [ナナピ]
(書いたのはライターさんなので、素敵な記事を書いてもらったことが、ヒットの秘訣だったと思います)

発注する以外にも、ゆかたんさんに指導してもらいながら、記事を書いてました。
今考えると本当に贅沢な時間だったなぁ。

読んでる人は暇じゃないし、あなたの友達でもない
それでも読ませる、魅力を伝えるにはかなり努力が必要です

背伸びしては伝わらない
「自分が」「本当に」面白いと思ったことだけを書けばいい。

最初にぐっと引きがないと最後まで読んでもらえない
ターゲットは「タイトル」と「導入」で限定する。

教えてもらったことは、いまでも覚えています。

これは、執筆だけじゃなくて、コミュニケーション全般にいえることだけど。
自分の理解度と、相手の理解度には差があるものだし、興味があるものだって全然違う。

ひとりよがりになるんじゃなくて、「相手の目線」を「自分の中」に持てるように意識する。難しいし、まだまだ出来ないけど。意識し続けなきゃいけないことだと、学びました。

アクロバティック過ぎるアイドル「ももクロ」の基礎知識 | nanapi [ナナピ]
大人も楽しめる子供番組「デザインあ」のススメ | nanapi [ナナピ]

どちらも2年前の6月に書いた記事。題材は自分で選びました。

記事の出来は置いといて、どちらも、その時より評価されていて。この時期に書けたのは良かった気がする。

成功ばかりじゃない、最初は空回ってた

もちろん、成功したことばっかりじゃなくて。ちょっとした挫折もありました。簡単に言うと、焦って空回りしてたんです。

今思うと、とても恥ずかしいんですが、「僕はバイトだけど、バイト以上の働きをするんだ!」と本気で思っていました。

でも、当然ながら、仕事は全然出来ないわけで。その後、寺さんに「お前は俺に勝てない!」と言われて、号泣することになります・・・笑

補足しますと、これは別に怒られたわけではなくて。とても悔しかったんです。

当時、僕はゼミに入らずにnanapiで働こうと決め。なんとか、認められるように頑張ろう、雇って良かったと言ってもらおう。と考えていました。

それなのに、何にも出来ないじゃねえか!と悩んでいた所に、「俺には勝てない」と言われ、「勝つもなにも、仕事が全然出来ないんです!!」と悔し泣きしてしまったわけです。(その後、オフィスの階段でめちゃくちゃ励まされた記憶があります。笑)

でも、この効果は、とても大きくて。

それからは、すごい地味な作業でも良いから、それを少しでも良くなるように考えて、期待された以上にして返す。それを、小さくてもいいから、コツコツ繰り返す。

そんな意識を持てるようになり、そのおかげで成長できたし、信頼関係を築くこともできたと思います。

業務以外の思い出

たくさんのライフイベントを見た

この2年間で、社員さんのライフイベントをたくさん見て来ました。

3人の社員さんが産休・出産され、ひとりはすでに復帰。
結婚した方は、2人。パパになった社員さんは、4人。

一緒に働いている方のお腹が大きくなっていき、産休をとられたあとに、Facebookで子供の写真を見たり、結婚式の二次会に参加させていただき、盛大に祝われる姿を見たり。

普通に大学生を過ごしていたら、当分先のように思えるライフイベントですが、ちょうど10歳上の方々が、節目を向かえるのも見て。30歳の自分を想像しながら、過ごしていました。

家族ができ、子供が生まれる。

その上で、責任感を持って働いたり、時には、同じ学生みたいに楽しそうに遊ぶ姿を見て、こんな大人になりたいと思い続けていました。

交流のハブになった

現在、70名ほどになったnanapi。幸運なことに、僕は大きくなる直前に入れたので、たくさんの人と交流することができました。普段の大学生活ではあえないような、様々な背景を持った方々。年齢問わず、話せる距離に色々な人がいる環境は、本当に嬉しかったです。

就活の相談に乗っていただいたり、勉強会に参加させていただいたり、新しい知識や視点を教わったり。個別のメッセージは割愛しますが、とっても感謝してます。

時には、自分が一緒に働きたいと思った人をnanapiに誘うこともありました。

サークルで一緒だった吉浜、横山、森本、田代くん。Twitterで働きませんか!と誘った美里さん。自分で言うのも何ですが、どの人も、一緒にバイトできるのが嬉しいくらいに、素敵な人でした。

また、交流のハブになったのは、nanapi内だけじゃなくて。

「nanapiでバイトしています!」なんて肩書きを武器に、pixivでインターンをしたり、ドットインストールのお手伝いにいったりと、色々な場所に行き、良い経験をさせていただきました。(その他にも、ゆかたんさんに紹介してもらって堀田さんや講談社の編集者の方と知り合えたのも、凄く良い経験でした)

僕の大学生活は、nanapiを中心とした、様々な人・環境との繋がりで出来ていました。

おわりに

「人生には、大きなチャンスが3回あると言います。僕は、nanapiが1度目のチャンスだと思って頑張りたいと思います!」

誰も覚えてないと思いますが、これはバイト初日の挨拶で、僕がいった言葉です。

意識高すぎ!と少し恥ずかしくなりますが。2年たった感想は、「本当にそうだったなぁ」の一心です。

まだ、3月を残していますし、何よりも卒業感がないのですが。バイトのみなさんへの感謝を、そして、これから何度もnanapiでの思い出を振り返るであろう自分に向けて、2年間のnanapi生活をまとめてみました。

たくみさんにも言われましたが、終わりではなく始まり。
これからも、よろしくお願いします。

好きな作家とスーツと制服

はじめに

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「制服」をモチーフに作品を制作している「大槻香奈さん」と「青山裕企さん」
どちらも大好きな作家さんです。

この2人に共通しているのが「制服」をモチーフにしていること。
今回は、昨年末に2人の個展、対談を見た時に思ったことをまとめました。

大槻香奈さん

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大槻香奈さんを始めて知ったのは、KARENというバンドのジャケットを見た時。

どこで見たのか忘れちゃったけど、こっちを見つめる少女の絵が頭から離れなくて、
ジャケットを書いた作家さんを調べて、それ以来ずっと気になっていました。
||Kana Ohtsuki Official Web||

青山裕企さん

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青山裕企さんを始めて知ったのは、スクールガール・コンプレックスが発売された時。

だけど、実際にファンになったのは「cakes」で連載されている「彼女写真」を見た時でした。

可愛いだけじゃない、グッとくる瞬間を抑える写真と間が素晴らしくて、思わず調べたら、「この人スクールガール・コンプレックスの人じゃん!」って感じでした。
青山裕企

実際に2人を間近で見ることに

大槻さんの個展

Gallery Schedule | neutron tokyo ニュートロン東京 南青山ギャラリー アートプロデュース

実際にこの2名を見たのは去年末。はじめは大槻香奈さんの個展を東京に見にいきました。(京都の作家さんなので中々、東京来ない)

これまで、画像でしか見れなかった作品が、キャンパスに描かれて目の前に。当たり前かもしれないけど、画像よりも迫力があって、力を感じる絵でした。

その中でも、良かったのが「制服の少女」のポートレイトシリーズ。壁に並べて飾られているのだけど、どれもが違う迫力を持った絵で、思わず時間を忘れて、じっくりと見てしまいました。

そして、対談

写真家・青山裕企個展で代表作『ソラリーマン』『schoolgirl complex』を展示 -art-designニュース:CINRA.NET

驚いたことに「青山さん×大槻さん」の対談が行われると知り、速攻で応募。行って来ました。

対談で気づいた「制服のちから」

対談では、作品への想いなどを、お互いが語り合うスタイルだったのですが、その中でとても感激したのが、[記号的] ⇄ [個性的]の話でした。

これは、青山さんの個展のタイトルにもなっていたのですが、「記号」と「個性」についてのお話です。

「記号」とは、簡単に言うと、そのものが持つイメージのことです。(「制服」を見たら、青春、若々しさ。スーツを見たら「社会」や「縛られている」など)

例えば、青山さんの作品では「顔の写っていない制服の少女」が良くモチーフにされます。

彼女たちは、「制服」を着ていることによって、「青春」「秘密の花園」「若々しさ」といったイメージを持っています。

「個性」とは、そのまんま、その人がもつ個性のことです。そして、⇄ とは、それが行き来している状態のことです。

[記号的] ⇄ [個性的]で、「強いイメージ」と「ひとりの個性」が相互に影響を与え合っていることを表しています。

でも、これって少し矛盾してると思いませんか?

「制服」を来た少女が並んでたら、それぞれの少女は、個性的じゃなくなるし。それこそ、スーツを来たサラリーマンが並んでたら、「没個性的」でみんな同じ様だと言うじゃないですか。

ですが、ここでは「強いイメージを持つ記号」だからこそ、逆に「個性的になる」(可能性がある)と話を聞きました。

スーツでジャンブする「ソラリーマン」

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これは、スーツを着たサラリーマンにジャンプしてもらい、その一瞬を収めた。
青山裕企さんの作品「ソラリーマン」の1枚です。

もう、明らかに個性的です。

これは、「ジャンプ」させることで、個性が引き出されているのですが。
ここで大きな意味を持つのがスーツであることです。

もし、この写真のおじさんが私服だったら、どうでしょう。
全然意味合いが違ってくると思います。

スーツを着た人が、ジャンプするから。つまり、「記号性の高い」サラリーマンをジャンプさせることで、「より個性的」にさせているのです。

[記号的] ⇄ [個性的]

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この話を聞いた時に、僕は大槻さんのポートレイトに魅力を感じたワケがわかりました。

一見、どれも同じような制服を着た女の子の絵ですが、みんなが「制服」を着てるからこそ、逆に「より強い個性」が出ている。

どの少女にも、何らかの背景があって、何かを伝えようとしている。そんな風に思える。

前に書いた「抑圧」と「反抗」を意識せよ! - 想像を文章にする練習にも少し繋がりますが、強いイメージ(抑圧)を与えることが、実は個性(抑圧に対する反抗)に繋がることがある。

そんな不思議を発見しました。

おわり

上手くまとまってないかもしれないですが。こうした[記号的] ⇄ [個性的]なものって、他にもあると思うし、何かのヒントになると思うんです。

同じスーツで言えば「WORLD ORDER」もそういった要素があるかもしれないし。先日紹介した、会田誠さんの作品にも「制服」や「スーツ」が良くでてきます。

強いイメージに縛られるからこそ、逆に個性的になることがある。頭の隅においておくと、いつか面白い気づきがあるはず。